Berkeley

2009

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一時帰国

2009年02月20日11:29

しばらくぶりに日記を書きます。

実はおとといまで一時帰国していました。
短い時間に、偶然何人かの人には会えたのですが、とにかく忙しく、会えなかった人ごめんなさい。

久しぶりに帰った日本の雰囲気は、予想通り、沈滞していました。
ただ単に不景気だというだけでなく、社会全体が委縮しているように感じられました。

ニュースでは、麻生がどうしたとか、一時給付金がどうしたとか、本当にどうしようもない小さな「ネタ」ばかりで、大転換期にある日本について今後 どうするのか、という大きな問題に取り組もうとする緊張感がまるで感じられませんでした。マスメディアも社会全体も、システム依存(甘えの構造)が抜け ず、大局観を失っている姿を目の当たりにしました。日本人すべてが、個々の日常の些事に四苦八苦というところでしょうか。今の日本人は、まるで集団自殺す るレミングのようにも見えます。ああ、これは戦時中も同じでしたね。

建国記念日の祝日、古町十字路を通りかかると、まじめな普通の若者たちが大きな国旗を掲げて「岡田ジャパンを応援しましょう!」と真剣に呼びかけ ていました。これも予想通り、草の根のナショナリズムが、これから日本にもどんどん台頭してくるのでしょう。不景気と貧困とナショナリズム。歴史のお決ま りのパターンです。

滞在中は、とにかく子どもたちと触れ合いました。5か月間、父親の役割を放棄していたので、せめてもの償いです。長男は、小学5年生であるにもか かわらず、なぜか「盆栽がやってみたい」と言いだし、仕方なくデッキーに行って安い盆栽(写真)を買いました。「ここの曲がっているところが何ともいいん だな」とのたまう彼を見ながら、「本当に自分の子だろうか?」「いやいやこの奇妙さはまさに自分の子だ」と心が揺れ動いたのでした。

帰り際、空港で、学校を休んで見送りに来てくれた娘が、最後に私の顔をまじまじと見つめ、その瞳にすべてを焼き付けておこうとしていた真剣な顔が忘れられません。後半も、その瞳に恥じない研究成果を残そうと決心しました。

帰ってきてさっそく向かったのがYMCAのジムでした。たるんだ身体と精神を引き締めるためです。帰ってみて気がついたのですが、体重は4.5パ ウンド(約2キロ)以上増えていました。日本の白米の恐怖が如実に実証されたのだと思いますが、なぜ日本にいると太ってしまうのか、さらに分析中です。

エアロバイクを漕ぎながらテレビに目をやると、オバマがアフガニスタンに1万7千人の米兵を増派するというニュースでもちきりでした。テレビでも新聞でも、意図的なのか、タイトルに「Obama's War」という言葉がしきりに用いられていました。

着いた日は土砂降りの雨でしたが、今日はカリフォルニアらしい、さわやかな快晴でした。また半袖の生活の始まりです。研究所からの帰り、アパート の近くの幼稚園の前にある桜の花が咲いていているのを見つけ、ふと幸福な気分に満たされると同時に、また少しだけ郷愁がわいたりもしたのでした。桜の花が これほど郷愁を誘うとは。新潟の春が恋しいです。

しかし、正直な話、ここバークリーの自由な雰囲気に再び包まれると、むしろ「帰ってきたんだな」という実感もわいてきたりします。人間は本当に面 白いと思います。今日も大好きなコーヒーを買って、また大好きな本屋で2009年の安売りカレンダーを買って、通りを歩いていると、底知れぬ幸福感に満た されました。真っ白なキャンバスに、これから絵を書くという時の高揚感に似た気持ちです。

いよいよ在外研究、後半部の始まりです。