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カリフォルニア一般選挙

2008年10月14日15:25

今、大統領選挙一色ですが、ぼくが住むカリフォルニア州でも、11月4日(11月の第一火曜日)に一般選挙(gengeral election)があります。

わが家のポストにも、この選挙に関する分厚い冊子(official voter information guide)が届きました(写真左)。裏には、英語のみならず、スペイン語・日本語・ベトナム語・タガログ語・中国語・韓国語のバージョンが用意されてい るので欲しい人は連絡するようにとあります。

あけてびっくり。ざっと読んだだけではこれはいったい何を選ぶ選挙なのかがわかりません。ぼくが持っていた知識では、有権者が、大統領を最終的に 選ぶ選挙人団(the electral college)を選ぶ選挙であるということでした。つまり、アメリカ大統領選挙では、50の各州がそれぞれどの党の候補を支持するのかを明確に一人にし ぼって決定するのですが、実際には選挙は、支持をした州の数ではなく、そのに州に割り振られている選挙人の数の合計で争われます(カリフォルニアは人口も 多く、選挙人の数も最大なので、この州を獲得することは大統領選ではとても重要になります)。ぼくは11月4日は、その選挙人を選ぶ選挙だと思っていまし た。

しかしそれは誤解でした。個々の有権者は選挙人ではなく、自分が支持する大統領候補(党)に直接投票します。選挙人を選ぶのは、各政党です。つま り、有権者の支持が過半数をとった大統領候補者の党がその州の全部の選挙人を選ぶのです。ですから、選挙人が12月に大統領に投票するのは、ごく形式的な ことで、事実上、11月段階で次期大統領は決定します。ちょっと複雑ですね。

しかし、びっくりしたのはそんなことではありません。

実は、もらったガイドの中身のほとんどは、「PROP」と書かれた難しい法案のような文章でした。これは地元に住む人にきいてようやくわかったの ですが、「PROP」とは「proposition」のことで、つまりは、「提案」です。それじゃ、何の提案かと言えば、それは市民の中から出てきた法律 案なのです。なんと、一定の署名を集めると、市民が法案を提起できるわけです。

つまり、11月4日は、何も大統領を選ぶだけでなく、この個々の「提案」の是非についても投票を行うわけです。きくところでは、この「提案」がこ れほどまでに活発になされているのは、カリフォルニア独特の現象であるらしいのですが、ほんとうに驚きました。ちなみに今回挙がっている「PROP」は 12もあります。

そういえば、テレビのコマーシャルでも、街のポスターでも、「PROP○番にNoと言おう!」というようなキャンペーンをしきりに目にします。 「これはいったい何だろう」と気になっていました。これもきいてみると、なかなか面白く、たとえば今カリフォルニアのみならず全米でも問題になっているの は、同性同士の結婚を認めるかどうか、という問題で、ここでは「PROP8」をめぐる問題とされています。

カリフォルニアでは同性の結婚が認められていましたが、それを認めないようにしよう、という法案が「PROP8」です。これによって、カリフォル ニア州の憲法も変わります。それで、写真の右側を見てください。これは教会の表に貼ってあったものです。「すべての人は平等だ。PROP8に反対しよう」 とあります。教会=保守=「PROP8」に賛成、というのが普通の図式なのですが、ここはさすがにバークリー。教会も「リベラル」なのです。

ちなみに「PROP7」は、電力供給に占める、風力や太陽光発電などの再生可能資源(renewable resources)による発電の割合を、2010年までに20%、2020年までに40%、2050年までに50%にしようという、エネルギー政策転換 の「提案」です。

日本では大統領選ばかり注目されていますが、実は日本人にとっては、地方自治にこそ、まさしくアメリカン・デモクラシーの真髄というか、目をみはる制度や文化がたくさんありそうです。