Berkeley

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駆け足のワシントンDC

2008年12月06日17:15

今日はワシントンDCの最終日。

公文書館でコピーした大量の資料をバークリーの自宅まで送り届け、また、残り少ない時間でできるだけ多く、以前から行きたかった場所を訪れなければなりません。あまり良くないやり方ですが、早起きをして、「駆け足」で名跡や美術館を巡りました。

ワシントン記念塔→ホロコースト記念館→ハーシュホーン美術館→国立航空宇宙博物館→国立絵画館→「Capital Grille」でカニ料理→チャイナタウン→国立アメリカ美術館と国立肖像画美術館→国際スパイ博物館という一日でした。これは通常1日ではありえないメ ニューで、最後は相当疲れましたが、DCはきわめて計画的な都市なので、歩いて行ける範囲に多くの施設が集まっているのが救いでした。

まずは今日は、都市計画の重要性に気がついた一日でした。

建造物の中では一番高いワシントン記念塔(写真左。よく見ると、小さな旅客機が塔に向っているようにも見えます)と、やはり大きな国会議事堂と が、街のほとんどのところから見え、これら中心的な二つの建造物が、両側の二つの軸となって都市を構成しています。その両者の間のスペースに、広い公園や 無数の行政機関、博物館、美術館などが整然と並んでいます。

また、次に印象に残ったのは、駆け足で訪れた美術館や博物館が共通してもっている、「アメリカ的」な価値観や世界観です。

「ホロコースト記念館」では言うまでもなく、アンチ・セミティズムへの批判や人権の普遍性に関するシンプルかつ明白な主張がなされますし、「航空 宇宙博物館」では、科学技術の夢や可能性が素朴に謳われます。また、「スパイ博物館」では、敵とたたかう007のようなスパイの美化がなされ、また絵画 は、「Smithsonian Institute(スミソニアン協会)」のあり方自体がそうなのですが、とにかくお金にものを言わせて集めるだけ集め、並べるといった感じです。もちろ ん、「アメリカ・インディアン博物館」や「自然史博物館」には行けなかったので、一面的な言い方にもなるのですが、明るいといえば明るい、ノーテンキと言 えばノーテンキな世界観です。

保護者といっしょに子どもたちも多く訪れていましたが、ここを一日めぐると、この「アメリカ的」な価値観がばっちりと身体に沁みこむのではないかと感じました。まあ同時に、この無邪気なノリで政治をやられたら、世界はたまらないという気もしましたが…。

ぼくにとって何より幸福だったのは、あこがれの本物の美術作品に多く出会えたことです。

エルグレコ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、モネ、ルノアール、ロートレック、ピカソ、ジャコメッティ、マックスエルンストなどなどです(写真真中は、セザンヌの静物画)。

また、無数のアメリカ現代アートも本当に堪能できました。アメリカの現代アートは、アメリカが人類に生み出したもっとも大きな価値のひとつだと、 かねてより思っています。アメリカのいい意味での「軽さ」が独自のオーラを放つまでに洗練されている姿を観るのは、本当に愉快でした。写真右は、「アメリ カ美術館」で偶然出会った、「Mr.Imagination」という名の作者(これは事実上「分からない」ということだと思います)によるもので、その独 特の「存在感」に惹きこまれました。「彼」の安っぽい「王冠」で飾られた胴体の真中は鏡になっていて、どうしても、「観る者」が「観られるもの」ともなり ます。これは本当に「傑作」だと思います。

また遅いランチに、思いきって有名なワシントンのカニ料理をおなかいっぱい楽しんだのも忘れられません。財布は傷んだのですが、がんばった自分へのご褒美です。

明日はニューヨークです。どんなものに出会うのか、今晩も遠足前の子どものようです。