平成28年 年頭のご挨拶
「大学は誰のためにあるのか―改めて考えよう」
学生諸君、教職員、ご父母の皆さま明けましておめでとうございます。新しい年をいかがお迎えでしょうか。皆さまにとって本年がより良い年になりますよう心より祈念いたしますとともに、本学にとりましても新たな輝かしい歴史を付け加える年になりますよう願っております。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、経済的には世界・日本とも緩やかな回復基調で推移しましたが、政治的にはTPP交渉の大筋合意、安全保障体制改定など大きな出来事がありましたが、何よりも「イスラム国」によるテロ多発という極めて対応の困難かつ由々しい事件がありました。その背景についてはさまざまな指摘がされていますが、差別と貧困が大きな要因であることは否定できないでしょう。国際理解を学び研究している本学としてもこの問題を強い関心を持って見守ってきた年でした。
20周年を期して実施した2学部制などの改革が2年目を迎え、改革の意義をいっそう発揮し定着させる年でしたが、教職員の努力、ご父母の支援もあって一定の成果を上げられたと思っております。本年はその3年目、現在検討中の「中長期戦略計画」を本年度中にまとめ、さらなる改革に向けたスタートを切る年にしたいと考えています。それは「2018年問題」と言われている一段の少子化を控え、本学の魅力をいっそう高め、学生や企業など地域により必要とされる存在を目指したいと思います。それには「大学は誰のため、何のためにあるのか」という存在意義の原点に帰るとともに、「高大接続」に続いて大学で学び、卒業して社会人となる「大社接続」にももっと役割を果たせる大学を目指すべきかと思っています。
「地域が必要とする人材を地域で育てる」と同時に「地域に役立ちたい若者に活躍の場を提供する」にはどうしたらよいかが求められていると思います。安倍政権が打ち出した「一億総活躍社会の実現」がどんな方向を目指すものかわかりませんが、「地方消滅」対策として打ち出された「地方創出」が期待はずれであることからしても、「地域の持続」は国の事業を待つのではなく、地域自らの発想に基づいて自らの力で取り組んでゆくべきでしょう。その時こそ大学は「地域の中核」となる気概で、自らが存立する地域社会のため役立ちたいものです。
新潟国際情報大学 学長 平山 征夫