令和6年 年頭のご挨拶

新潟国際情報大学 学長 越智 敏夫

 私が育った愛媛県は教育に関しては変でした。自分は転校が多かったのですが、県内共通の風習がいくつかあって、高校卒業後、他県出身者と接するようになってから、あれらは愛媛だけだったのかと気づきました。

 たとえば小学校の「反省会」です。始業前、生徒が級友の悪行をばらすのです。たとえば「昨日、越智君は学校の池に石を投げて遊んどりました。いかんと思います」とか。すると越智君は起立して「おもろかったのでやりました。先生、ごめんなさい。みなさん、ごめんなさい」と2回お辞儀して謝るのです。地獄の光景ですが、愛媛では当たり前でした。

 また3学期が始まると新年の目標を書かされました。これも悲惨で、適当なことを書くと怒られるのです。「背泳ぎができるように」あたりでは許してもらえず、かといって「世界征服」などと書くと、かなりの確率で体罰が待っていました。「清い心をもちたい」とか崇高なものを要求してくるのです。もちろんそれらの目標が年末に達成されることは絶対になく、目標設定の虚しさだけが蓄積されていきました。

 ほかにも給食での三角食べという奇習もありました。パン、おかず、牛乳を順番に食べないと、これまた教師にチクられるのです。僕は小学校のころなぜか給食のパンがほとんど食べられなかったので、いつも給食はつらい時間でした。

 これらから得た教訓というのは、人間、あんまり反省することはないし、無駄に高い目標を決めても疲れるだけだし、偏食しても生きてはいける、ということでした。おせち料理も好きなものだけ食べて、あとは誰かにまかせましょう。そのほうが幸せな一年を送ることができると思います。新年のご挨拶として適切かどうか不安ですが、人生、そんなもんだと思います。今年もよろしくお願いします。

新潟国際情報大学 学長 越智 敏夫