厳しい冬を乗り越え万物芽吹く成長の年(壬寅)に

 学生の皆さん、ご父母ならびに教職員の皆さま明けましておめでとうございます。
清々しい気持ちで新たな年を迎えられたこととお慶び申し上げます。

 新年のご挨拶といいますと干支にちなんでこれを説き起こすことも多いようです。私もそれに倣ってみようかと思います。申すまでもなく令和4年は寅年、十干十二支では壬寅(みずのえ・とら)。辞典によりますと、「壬」は「…五行では水。方位では北にあたる。…北方に位し、此に至れば陰極まり陽生じて、萬物懐妊す。故に婦人の懐妊の形に象って、その意を表はす」とあります。「妊に通じ、陽気を下に姙む」と説明する向きもあるようです。一方「寅」の字については中国の歴史書によれば「春の胎動、春の象徴。草木が生ずる、成長、発育、誕生の意」とのこと。ということで、「壬寅」は厳しい冬を越えて、万物が芽吹き始め、新しい成長の礎となる年、ということになるのでしょうか。何ともめでたい年を表していそうです。

 と、孫引きだらけのウンチクを並べていい気分になったところで急に思い出しました。私がその昔聴いて感激した、春の胎動そのものの音楽のことを。ストラビンスキーの「春の祭典」です。私が聴いたのはズービン・メータがロスアンジェルス・フィルハーモニックを指揮して1969年に録音したレコード盤の「春の祭典」。33歳のメータが力に任せて振ったこの名盤は、テンポは速くアグレッシブ。鬱陶しい不協和音が続いた後の金管楽器の咆哮、大地を揺るがすような打楽器の響き。痛快このうえなく、胸颯爽の意気に充ち、です。最近は若い人にも人気のある曲目なのだとか。これまでもいろいろな指揮者、オーケストラが演奏しています。如何ですか、お聴きになってみては。聴き比べも面白いですよ。

 コロナ災禍の先行きはまだ予断を許さない状況が続きそうですし、自由な行動もまだ制限されている昨今ではありますが、他方で正常化の動きも始まっております。本年が皆さまにとって、干支に込められた意と爽快な音楽に象徴されるような良い年になりますように。

新潟国際情報大学 学長 野崎 茂