2007年度情報システム学科「卒業研究1」

講義要項掲載小宮山研究室紹介(B:人間と社会)

授業目的

人々の行動や考え方を“人と人との関係(社会”)に着目して“研究”することを目的とします。

「学校」が既存の情報・知識を覚えるところであるのに対し、「大学」とは、新しい情報・知識を創造する(=研究する) 能力を身につけるところです。統計パッケージやデータベース等の情報システムを利用して研究を行います。2005年度の卒業 論文から例を2つ紹介します。

例1:映画満足度の研究

現在、web上で、映画推奨サイトがあるが、主にユーザーの購入履歴や、ウォッチリストなどを利用している。 しかし映画では、満足する要因の一つにその人の性格が大きく関係していると思われる。そこでこの研究では、楽観主義、悲観主義の 人に着目し、気分が高揚しているときと、沈んでいるときについて研究をした。調査の方法は、対象者を新潟国際情報大学に在学して いる学生にし、アンケートによる調査を行った。

さまざまな仮説を比較検討した結果、気分が下降している時は、楽観主義の人ほど暗い映画で満足し、悲観主義な人ほど明るい映画 で満足するということが明らかになった。この結果から、性格判断を取り入れた推奨システムを提案した。

例2:新規スノーボーダーの開拓

「なぜ、若年層の女性はスノーボードを始めたいと思っているのに始めないのか?」という問い のもと調査、分析を行った。

人間関係要因、経済要因、身体要因の3つの要因から仮説の構築を試みた。調査は新潟市内の女子学生(2大学を調査)を対象にし、経験 者、未経験者では普段の生活、友人関係等に相違はあるのか、また経験者はどのような契機でスノーボードを開始したか、未経験者の中 でどのような人がスノーボードを行うことを希望しているか等に関して、自記式アンケート調査を実施した。

分析の結果、男性指導者説と友人話影響仮説の人間関係要因の仮説が採択された。この結果から、スノーボード開始希望の若年層の 女性は、周囲にスノーボード経験者の男性が多いことと、スノーボードに関する楽しい話を聞くことによりスノーボードを始めることが 分かった。経済的要因や身体的要因はスノーボードの関心に影響を与えないことが明らかになった。そこでスポーツ経験者に限らす、 広く若年層女性を集めるイベント行いスノーボーダーと知り合う機会を設けることで、潜在需要を掘り越すことができると結論付けた。

二つの例について

どちらの研究も、自分の関心のあることについて、研究を検索するデータベースを用い、いままでの研究がどこまで進んでいるのか、 がまだ足りないのかを探し出し(問題の発見)ています。そして探し出した問い(映画の満足要因は何か、なぜ、若年層の女性は スノーボードを始めたいと思っているのに始めないのか)の原因について複数の推理(仮説)を考えて情報システムを利用し検証 しています。そして得られた結果に基づき、企画・対策を提案しています。

各回の授業内容

卒業研究1:研究計画と履歴書の自己紹介文を執筆します。就職活動が本格化する3年次の2月までに終わらせておく必要があります。また研究計画・自己紹介文の執筆は論理的な文章を書く大変良い練習です。二つの課題を作成するために図書館・データベースの利用法・研究方法の習得、面接の練習を行います。卒業研究1〜3までグループワークを行い、お互いの意見を参考にしながら進めます。

卒業研究2:研究計画書が完成していると、研究のための総量が把握できているため、安心して就職活動ができます。必要な文献を読み進め、執筆を進めます。また検証のための計画・準備を終わらせます。8月末日まで、草稿を完成させ、分析結果を書き足せばよい状態にします(8月は就職活動があまりできない月です。ここで卒論を進めておきます。公務員試験受験者は試験日に応じて締め切りを変更します)。

卒業研究3:調査・分析等を行います。またお互いの草稿をテーマに、グループワークを行い、卒業研究を完成させます。また発表会の練習をとおしてプレゼンテーション能力を高めます。

成績評価方法

卒業研究1は研究計画書と自己紹介文、卒業研究2は草稿、卒業研究3は卒業論文と発表会によって評価します。

達成目標

情報システムを利用して研究する能力を身につけてください。また自分の研究が社会にどのような貢献・影響を及ぼすか考察してください。

教科書・参考文献

研究テーマに応じて、各自が探します。

受講に当たっての留意事項

詳細は小宮山のホームページ(http://www.nuis.ac.jp/~komiyama/)で公開します。必ず参照してください。

2年生の春休みにサブゼミ(1日程度)を開きます。日程等は参加者の皆さんの都合に合わせます。

2年次・3年次ともに卒業研究発表会には必ず出席してください。

無断欠席は認めません。欠席の場合、可及的速やかに連絡してください。


2007年情報システム学科「卒業研究1」ゼミ紹介