学報94号
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理事長祝辞学んだ力で希望を語れる人に㎞で総延長634・7㎞にのぼります。本学の至近にある新潟砂丘は北東部の村上市岩船港から南西部の角田山麓まで連続して分布していて全長70㎞と日本一の長さを誇ります。ただ砂丘が何列もの列状に並んでいたりして砂丘というイメージがあまりなく鳥取砂丘のような観光資源とするには今一つなのかも知れません。とは言え先ほど挙げた国を富ませる要素の一つとしての地理的位置という点で、本州のほぼ中央に位置する新潟は太平洋側諸都市や工業地帯へのアクセスも容易ということで極めて恵まれていると言えましょう。一方県勢という観点から新潟の産業はどん和3年度の統計によれば、県内総生産、県民な状況かと言いますと、新潟県がまとめた令所得はいずれも全国16位、農業県ということもあり米を中心に多岐にわたる農業産出額は位のレベルで、食材の宝庫であることをアピールした標語「うまさぎっしり新潟」の面目新潟国際情報大学、第25回卒業生、295名の皆さん、卒業おめでとうございます。併せてご参列のご父母の皆様、心よりお喜び申し上げます。学校法人新潟平成学院の佐々木と申します。一言お祝いを申し上げます。(今ほど、学長の式辞にもございましたので、コロナ問題や、紛争、環境問題等は割愛させて頂きます)。新型コロナウイルスの猛威は、我々のこれまでの日常を大きく変化させました。本学においても、2年前の前期授業はオンラインで行われる等今まで経験したことのないパンデミックに襲われました。そして未だ同13位、林業産出額は同2位、漁獲量は同24躍如といったところです。製造業ではモノづくりに欠かせない高度な基盤技術が集積する国内有数のクラスターがあり、繊維などの伝統工芸品の生産も盛んで、製造業の事業所数は同9位、付加価値額は同20位と健闘しております。ところが如何せん、新規事業の開業率となりますと全国45位に沈んでしまいます。自然環境に恵まれ、相当程度自給自足が可能な農業生産物があり、製造業も盛んという豊かなバックヤードを持っている。あくせく無理をしてリスクを取りながら世界各地や県外の新天地を求める必要もないということなのでしょうか。先程紹介したマハンは、絶対王政の下で宮廷文化の華を開かせたフランスとその百年ほど後のヴィクトリア女王期にパクス・ブリタニカと称される時代を築き上げたイギリスの例を取り、「フランスには気候温和で快適な土地があり、国内の産物で自国民の需要を十二分に満たしうるのである。これに反して、イギリスは自然の恵みに乏しく、その製造業その流行は収まらず、猛威を振るっています。ただ、嘆いても、恨んでもこの事実は変わりません。これからは、これが新しい日常と受け入れ、対応していかなければなりません。また、今、世界は、武力による地域紛争、人種差別や人権問題、自然災害や環境問題等、人類の生命を脅かす脅威は、人類にとって非常事態の様相を呈してまいりました。私たちにとっても対岸の火事では済まない問題が迫っています。皆さんは、卒業式が終了すると、いよいよこの不確実な実社会の只中に踏み出すことになります。できれば、明るく、住み良い社会であってほしいと願いますが、そう簡単ではないでしょう。しかし、怯まないでください。この4年間、皆さんは、「自主的に判断し、自ら表現する」ことを学んできました。先生や友人と培ったコミュニケーション力を活かして社会人としてのキャリアを積み重ねていってください。「私にはそんな力はない」と臆する人がいるかもしれません。他人と比べる必要はありません。この4年間の学びで、考える力、判断する力が必ず身についています。今が発達するようになるまでは輸出品も僅少であった。イギリス人が諸資源に欠き恵まれた状況でなかったことが逆に、その精力的な活動力や海上進出の機運を促す結果となったのである」と論じております。ここで述べられているフランスの例など、まさに現在新潟が置かれている状況にピッタリ当てはまるのではないでしょうか。そしてもう一つの要素として挙げられた国民性ならぬ県民性。新潟県人は温厚従順かつ我慢強いといわれます。悪く言えば、覇気に乏しく引っ込み思案ということなのかも知れません。こうしたいろんな要因が反映された結果が、停滞が続いていると言われて久しい今の新潟の姿ということなのでしょう。この新潟の現状を何とか打破して活気ある新潟を復活させたい。私たち教職員は冒頭申し上げたとおり「日本文化と異文化の違いを理解し、国や地域を越えて情報文化に貢献できる人材を育成する」ことに努めて参りました。つまるところ日まで学んだことに自信を持って一歩踏み出してください。ところで、4年前の入学の頃を思い出してみてください。皆さんの多くは本学を第一志望に選んでくれたことと思いますが、中には、そうでない方もいたのではないかと思います。言われるままに登校し、流れに合わせて授業に出席することで「良し」としていたのではないでしょうか? 4年後の今日はどうでしょう? り合える仲間との出会い、授業、ゼミを通して学ぶ喜びを教えてくれた先生、大人としてのこの4年間の学園生活は、かけがえのない一生の宝物になったはずです。「いやいや」では、長続きしません、途中で本学を去っていたでしょう。これから向き合う仕事も同じです。まず、自分の仕事を好きになってください。新入社員が業績で一番になることは難しくても、仕事を一番好きになることはできます。単純なことですが、最も大切なことだと思います。小説家の井上靖は、「努力する人は希望を語本音で語日本の資産は「海」とこの「人、人材」しかないといっても過言ではありません。本学で国際化の何たるか、情報化の何たるかを学んだ若い皆さん方はその知識、能力をこれから社会に還元して行かなければなりません。日本の未来は、そして新潟の将来は皆さんの双肩にかかっているのです。皆さんの力に大いに期待をしております。最後になりますが、「顧みての微笑み」という言葉があります。これは本日の皆さんのような門出を迎える方達にいつも私が贈る言葉です。先程来ご紹介した内容のような皆さんを鼓舞する類の寸言ではありません。餞の言葉としては何の変哲もない簡素でさり気ない言葉かも知れませんが、皆さんがこれからの人生の節目節目で来し方を振り返って見た時に、満ち足りた気持ちで微笑みを以て総括ができるようにと、そしてまた皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈りつつ、私からの祝いの言葉、餞の言葉とさせていただきます。本日はご卒業、誠におめでとうございます。り、怠ける人は不満を語る」と言っています。皆さん一人ひとりが希望を語る人になってください。本学は平成6年に開学し、これまで28年間、一度も定員割れすることなく極めて順調に運営がなされてきました。教職員のご尽力はもとより、卒業生の、それぞれの分野での活躍が評価されている証左だと思います。一方、一部の大学の理事や理事長、教職員のが求められております。実は、私も昨年12月に就任したばかりの新米の理事長です。少子化が進み、大学運営は益々厳しくなってまいりますが、時代の変化に対応し、社会の期待に応える大学運営の確立に向け、また、皆さんが、卒業された後も自慢できる母校であり続けることができるよう、法人・教職員が一体となり、大学改革を推進してまいります。これから社会人として人生を送られる皆さんには、常に感謝と敬意の心を忘れず、健康で希望に満ちた人生を歩まれるよう心からお祈り申し上げ、お祝いの言葉と致します。不祥事により、理事会、評議員会のあり方など、学校法人のガバナンス改革                 9新潟国際情報大学 学報 国際・情報 令和4年4月発行 2022年度 No.1学校法人 新潟平成学院理事長 佐々木 辰弥

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