vol82
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れからもそうした方々とのつながりを大切にして行ってください。「顧みての微笑み」という言葉があります。曾て、海軍経理学校で語り継がれた言葉という人もおりますが、正確な出所は詳らかではありません。本日、学位記を手にした皆さんはこれまで過ごして来た日々を微笑みと共に、あるいは満面の笑みと共にでしょうか、振り返っておられるものと思います。皆さんはいずれまた何年か、ある新潟国際情報大学の第22回卒業式を迎えられました284名の皆さん、卒業おめでとうございます。併せてご列席のご父母の皆様、心からお祝いとお喜びを申し上げます。いま、立派に成長して巣立つ元気な卒業生の姿を前にして、さぞかし感無量のことと拝察いたします。また、年度末のお忙しい中、多数ご臨席をいただきましたご来賓の皆様、誠に有難うございます。厚く御礼申し上げます。大学の設置者であります学校法人新潟平成学院を代表して一言祝辞を申し述べます。今、みずき野のキャンパスでは桜のつぼみも膨らみ始め、いつもと変わらない春の風景が巡ってきました。皆さんは卒業式を迎えた今、何を思い、振り返っていることでしょうか。あっという間の4年間だったのではないでしょうか。皆さんの中には、大学とは何をすべきところか、そうしたこいは何十年か後に自分たちが歩んで来た途を振り返って見ることでしょう。それまでの道のりにおいて幾多の困難に遭遇するものと思われます。微笑みどころではない状態に陥ることも多々あるものと思われます。ただ何らかの区切りを付けようとする時、あるいは新しい生活を始めようとする時、人生の大きな転換点に差し掛かった時に、それまでの来し方を振り返ってみる。その時に「自分は最善を尽くして来た。そとを深く考えず、高校の延長のような気持ちで進学した人も多いのではありませんか。振り返れば50年以上も前の私自身がまさにそうでした。しっかりした目的意識を持って大学に進んだ学生は、案外少ないのではないでしょうか。失礼なことですがそんな風に推測しています。もともと大学はあれこれ迷いながら自分なりの考えで自由に知識とか経験を身につける場所ですから、それはそれとして構わないとは思います。ただ、これから先は皆さん、違います。漫然と実社会に入り生きていくことは許されません。自分はこれからどういう人生を歩みたいのか、生きていきたいのか、いったい何をするのか、したいのか、組織や社会でどう役立っていくのか等、きちんと深く考えて早いうちに答えというか目標を固めてほしいと願っています。5月から新しい元号の時代を迎えますが、皆さんには否応なしに厳しく、生きづらい時代が待ち構え、大きな危険も想定しなければなりません。毎年卒業式のたびに同じようなことを話していますが、時代は確実に困難な方向に向かって動いています。極端な自然現象に伴う大規模災害の多してそれは間違っていなかった。正しかったのだ。」と微笑みを以てそれを総括することが出来るのかどうか。そして、もちろんそのような大きな節目だけではありません。毎日の暮らし、日々の営みの中で、ほっと一息ついて自らの行いを振り返ってみる、むしろそうした場面で思い出していただきたい言葉だと思っていますが、それらのいずれの時においても、願わくば微笑みを以て、その中には苦笑が混じっていても発をはじめ地震のたびに身構えざるを得ないメルトダウンしたままの福島第一原発のこと、人口減、超高齢化と福祉の行方等々。そして世界では終わることのない分断と分裂と対立。人種や民族、宗教間の対立紛争は、むしろ激化しているように見えます。卒業生の皆さんは、こうした「不安と逆境の時代」を避けては通れないのです。極めて生きにくい、辛い世の中を渡っていかなければなりません。こうした事実をしっかりと踏まえて、決して逆境に対してひるまない、たじろがない強い決意と覚悟をもって人生を生き抜いて行ってほしいと願っています。強い心や覚悟を身につけるということは、かなり難しいことではありますが、結局のところ、自分で自分を磨き、自分で自分を鍛えることからしか生まれません。そのことを特に強調しておきたいと思います。平成6年に開学した新潟国際情報大学は、新年度、創立25周年の節目を迎えます。間もなく入学してきます第26回新入生たちは、新しい元号の時代を目前に学生生活の第一歩を踏み出すことになるわけですが、今年は入試志願者が、昨年に引き続き一千人の大台を突破して、開学以来4番目いいでしょう、総括が出来るようになっていただきたい。私自身はそうありたいと思っておりますし、皆さんにおかれましても是非そうした日々を送って行っていただきたいと願っております。餞の言葉としてはややもすれば簡素清浄過ぎる言葉かも知れませんが、皆さんのこれからの人生が幸多かれと祈りつつ私からの祝いの言葉と致します。に多い記録となったことも嬉しいニュースのひとつとなりました。このことはこれまでに、本学で汗を流された多くの先輩を含む教職員はじめご父母の皆様、地域の方々、そして同窓生の皆さんから25年の歴史の中で積み上げていただいた本学の「価値」が、まさに高く評価され、証明されたものと有難く感謝している次第です。とりわけ本学卒業の同窓生は、昨年度で6083人を数えましたが、こうした同窓生の実社会における活躍ぶりが、地域や企業から評価され、志願者増の大きな要因になっているものと考えております。本日ここに卒業される皆さんもこうしたことを強く意識して、これから先輩たちとの絆を深め、併せて母校への支援、協力をお願いしたいものと期待しております。最後に「あなたは輪をつくれますか」という問いかけで締めくくりの言葉といたします。「輪っか」の「輪」を皆さんは作れるかということです。「逆境」に直面する時代のなかでは、ひと握りの優れた人間がいても降りかかる難題を解決、突破する力にはなり得ません。一人ひとりが手を繋ぎ合い、スクラムを組み、共に助け合うことがより重要になってきます。あなたたちは、これから実社会に入って組織や社会の現場で一人ひとり自ら進んで「輪」をつくる人間、つくれる人間になってほしいと強く願っております。理事長祝辞かつはなむけ自ら進んで■輪■をつくろう13         学校法人 新潟平成学院理事長 星野 元新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成31年4月発行 2019年度 No.1

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