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 「地域で生きる」ことも    大きな価値を持った人生本日、ここに新潟国際情報大学の第18回卒業式を迎えるに当たり、まず初めに卒業生諸君に心からお祝い申しあげます。「卒業おめでとう」。また、ご列席のご父母の皆さまにもお祝い申し上げます。4年間家庭から支えて来られたわけで、本日卒業式を迎えられ、喜びいかばかりかとご推察申し上げます。ご臨席いただきましたご来賓の方々にも御礼申し上げます。開学以来本学に格別なるご支援を賜りありがとうございます。卒業生の皆さんは今卒業式に臨み、4年間の大学生活の思い出が走馬灯のように駆け巡っていることと思います。楽しかったこと、苦しかったことなどが思い浮かんでいることでしょう。4年前、皆さんは大きな希望に燃えて本学に入学してきました。そしてみずき野の四季は巡り、4年の歳月がたちました。みずき野でのキャンパスライフはいかがでしたか。弥彦と角田の山々を望む、この恵まれた自然の中でスポーツにいそしみ、友人と友情を育み、そして先生方の指導のもと勉学に励んだ大学生活は、皆さんが輝いていた青春の尊い記念碑になることでしょう。今春、みずき野から巣立ってゆく卒業生は、情報文化学科106名,情報システム学科168名、合計情報文化学部274名です。皆さんは4月からは社会人としてそれぞれが選んだ道に新たなスタートを切るわけです。実社会では大学時代とは比べようもない多くの困難にぶつかることでしょう。プロの職業人として仕事で報酬を得るということは、もともとそれほど易しいことではありませんが、現在の世界の経済情勢を見ますと、皆さんの多くが所属することになるそれぞれの企業にとっても容易でない時代であります。そうした時代を社会人として自立して生きてゆくのですから、多くの困難に遭遇するでしょう。しかも大学で学んだことはすぐ役には立ちません。だから、当面皆さんは迷い悩むことでしょう。でも、大学で学んだことは必ず役に立ちます。それは、あたかも地中に深く伸びて木を支える根のように、皆さんに人生で必要な栄養を送り続けてくれるはずです。みずき野で学んだことがこれからの人生で戸惑うたびに「考え、判断し、実行し、解決する力」として、生きる知恵として皆さんを救ってくれるでしょう。その力をさらに高めるためにも卒業後も学ぶことをぜひ続けてください。私が社会人になってからもずっと学び続けてきたバックボーンとなっている言葉があります。それを社会に船出する皆さんへのはなむけの言葉として贈ります。それは「インド独立の父」マハトマ・ガンジーの言葉です。ガンジーのことは皆さんも良く知っているでしょう。「マハトマ」とは「偉大なる魂」という意味ですが、その名の通りガンジーは私たちに教訓となる言葉をたくさん残していますが、その中でも最も有名な言葉です。それは、「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい」という言葉です。生き方と学び方の神髄を示唆して、いつ思い浮かべても意味の深さにわが身を振り返ります。デフレ経済からの脱却を図ろうとする「アベノミクス」は、昨年暮れの一段の金融緩和によりさらなる円安・株高が進行し、その分の景気回復による雇用情勢の好転は、皆さんの就職活動に少なからずプラスになったと思います。でもその恩恵が過疎高齢化に悩む地方にまで十分波及していないことなどが問題になっています。フランスの経済学者トマ・ピケティの著書「二十一世紀の資本」の出版から世界的に「格差」拡大問題が話題となっていますが、所得格差だけでなく地域間格差も問題です。もう一つ議論となっているのが「成長の持続」です。超金融緩和による一時的な心理効果を利用してデフレから脱却しようとする背景には、さらなる持続的な経済成長を追求する考えがあります。一般的には「成長することは良いこと」ですし、「豊かになれば幸福になれる」と信じられているからです。でも最近、経済学者の中から「いつまで成長を続ければ良いのか」とか「続けられるのか」、あるいは「成長すれば幸せになるのか」とか「人々を幸福にする成長とは何か」といった議論が聞かれています。ようやく真に社会に役立つ経済学の在り方として「幸福のための経済学」が重要であることに気付き始めたようです。皆さんがこれから羽ばたいてゆく現実の世界は、先ほど申し上げたようにそう生易しくはありません。中国等の成長鈍化や、ギリシャ問題の再燃や欧州経済のデフレ化などの問題を抱えながらグローバル経済は競争をさらに激化していますし、IS問題、ウクライナ情勢など国際政治の大きな火種は何ら解決の見込みが立っていません。先月来日したピケティ氏は「格差」の固定化の問題指摘をしましたが、以前より大きな格差を生むようになったそもそもの原因である「自由な競争による成長の追求」が本当に多くの人々を幸福にするシステムであるのか、そして人類がいっそう厳しい条件下で地球環境と調和していかなければならない時に選択すべきシステムであるのか、今こそ真摯に見直すべき時にきていると私は思っているのですが、残念ながら少数意見です。永年政治・経済界で生きてきた私には、現在の世界の仕組みは「人々をより平成26 年度卒業式学長式辞13新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成27年4月発行 2015年度 No.1 卒業式に先立って、JABEE(日本技術者教育認定機構)認定による情報システム技術プログラム修了証書の授与式が行われました。平成26年度の同プログラムを修了した学生は10人。学長が一人ひとりに証書を手渡して勉学の努力をたたえました。 このプログラムはJABEEが認定する教育制度で、修了生は「技術士補」の資格が得られ、文部科学省令で定める技術士資格1次試験免除の優遇措置が受けられるとともに、情報システムを開発する技術者になるために必要な教育を受けたという社会的評価が与えられます。 情報システム学科では、情報とその関連分野の教育内容について2007年に11月にJABEEによる審査を受け、翌年5月に認定を得ることができました。12年11月には継続審査を受け翌年4月に認定が継続となっています。 これで本学を卒業し修了証書を取得した学生は合わせて121人となりました。         新潟国際情報大学学長 平山 征夫JABEE認定プログラム10人の修了生に証書授与

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