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新入生の皆さん、本学への入学おめでとうございます。本学役員、教職員一同を代表いたしまして、皆さんに心からお祝い申しあげますとともに歓迎申します。本学では平成6年の開学以来、毎年このみずき野キャンパスに春とともに新入生を迎えてきましたが、皆さんはちょうど20回目の新入生です。私としましては感無量の思いと大きな喜びを持ってこの入学式を迎 えました。皆さんはこれからこのみずき野キャンパスで4年間の大学生活を送るわけですが、入学式に臨み、今は期待と不安で胸がいっぱいのことと思います。でも心配することはありません。私どもは教職員挙げて皆さんがスムースに大学生活に溶け込めるようサポートしてまいりますので、分からないことは遠慮なく質問し、1日も早く有意義な大学生活が送れる体制を築いてください。冒頭申し上げましたように、本学は本年開学20年目を迎えます。人間でいえば成人式を迎えるということです。今日からは成 人したこの大学の新たな歴史を一緒に刻むことになるわけです。本学は幸い多くの先輩教職員、卒業生たちの努力もあって、この20年という比較的短い歴史のなかで多くの有能な卒業生を輩出することができ、地域からも信頼される大学として評価されてきました。いっそう 地域から頼りにされる大学へと発展できますよう、皆さんに大いなる期待をしているところです。また大学としましても20周年を機にさらなる発展のための大学改革を行うこととしているところです。本年は情報文化学科122名、情報システム学科190名、合計情報文化学部312名の新入生を迎えました。私をはじめ教職員一同、建学の理念であります「わが国の社会、文化についての認識と理解を基礎に、国際化、情報化の社会の中で役に立ち、 能力があり、意欲があり、人間性豊かな人物を育成する」という目的に向かって、皆さんが日夜勉学に励み、人格・人間形成に励むことができるよう最大限サポートしてまいりますので、皆さんも全力でぶつかってきてください。入学式に当たり学長として皆さんにお願いなど、少しお話をしたいと思います。大学は高等教育の場です。皆さんは、先ほど述べました本学の建学の精神などに共鳴し 国際文化、情報文化、情報システムといった専門分野に興味を抱いて、高等教育を本学で学ぶことを選択したわけです。私たちはそうした希望に応える責任がありますが、皆さんにもご自分の目的に向かって努力する責任があります。学生の本分は学ぶことです。私たちは全力で皆さんの教育指導に当たります。でも何といっても学ぶのは皆さんです。第1のお願いはしっかり勉強してくださいということです。大学では高校までのように知識を得るために学ぶだけではなく、知識を生かすこと、得た知識をもとにそこから真実を見出すべく考えることが求められます。考える訓練が思考力となって、判断力も磨いてくれます。一般基礎知識と専門知識をバランスよく学ぶことで、深い専門知識とともに、人間性豊かな人格形成にも努めることが重要であることも忘れないでください。また、大学では自ら主体的に学ぶことが求められます。高校のように決められた授業スケジュールに従って学ぶのではありません。何を学ぶかカリキュラムを作るのは自分です。しかも選んだ授業に出るか休むかも自己判断です。入学後最初の半年間に、自ら学ぶという生活習慣を身に付けることが重要です。それができないと授業に付いてゆけず、欠席しがちになってしまいます。学ぶ習慣をきちんと身に付け、学ぶことの楽しさを知ってください。私は「大学は魚に泳ぎ方を教えるところだ」と言っています。もともと泳げる魚に泳ぎ方を教えるのは、より正しい泳ぎ方を教えることで、魚が自らの力でより力強い泳ぎ方を身に付けるからです。もともと皆さんは学ぶ力を持っているのです。その力を最大限引き出すのが大学の役割だと思っています。入学後できるだけ早く泳ぎ方の基本を身に付け、自分で泳ぎだしてください。もう一つのお願いは、できる限り幅広い思考のできる人間になるよう心掛けてくださいということです。大学では単に知識を得るのではなく、考える力をつけるために 学んでくださいと申し上げました。また、学び・考えることを通じて豊かな人間性を身に付けてくださいとも申し上げました。そのためには深く専門分野を学ぶことと同時に、幅広く哲学、文学、美術、音楽など思考と感性を豊かにしてくれる分野にも大いに興味を持って取り組んでください。クラブ活動や、先生や友人との人間関係からも育まれるでしょう。積極的に部活や友人づくりにも取り組んでください。入学式の最後に本学の校歌が歌われますが、その中に「あこがれを空に描いて友と歩もう夢創る道を」という歌詞があります。まさに本学で皆さんは豊かな人間性を育み、友人と互いの夢を語り、その実現のために学んでください。経済学の父といわれるアダム・スミスは「国富論」のほかに「道徳感情論」という本も書いています。スミスはその著書の中で「世の中には弱い人と賢い人がいる。弱い人は世間一般の評判を重視する自惚れや野心を持った人間で、経済的に豊かになれば幸福になれると考えている。賢い人は自分の中にある偏りのない観察眼に従って、公正で醒めた判断と行動のできる人間で、人間の幸福感が経済的豊かさとは比例しないことや虚栄心の無意味さを知っています」。スミスはこの二つの人間の類型について、「実は野心と虚栄心に突き動かされている弱い人が、他人から賞賛されたい、注目されたいと考えてきたからこそ、そのエネルギーによって経済社会は多くの富を生み出してきた」とも言っています。確かに世の中の人が皆良寛さんのように無欲では経済は成長しないでしょうが、豊かさのみを追い求める人間ばかりでも困ります。皆さんはどちらのタイプの人間を目指しますか。私は大学で皆さんには「人間はどう生きるべきか」をテーマに幅広く学んで、そして賢い人間としてどう生きるかを考えてほしいと思います。明日から大学生活が始まります。それは高校生時代とは全く違い限りなく自由なものです。でも自由ということは、授業に出ようが、アルバイトに行こうが、部活に出ようが、家で寝ていようが良いということです。でも自由であるからといって学生の本分である学ぶ事をサボってはいけません。易きに流れれば限りがありません。自由を履き違え、だらしない生活を送らないよう第20 回学長式辞開学20回目の新入生   共に新たな歴史を刻もう新潟国際情報大学長         2新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成25年4月発行 2013年度 No.1平平成成  2525年年度度平山 征夫入入学学式式

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