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ロシアの体制転換と日本外交オブジェクト指向モデル私の研究テーマ            6私が国際政治に関心を持ったのは、小学校高学年のころだったと思う。1960年代後半、ベトナム戦争から手を引かず、北爆を続けるアメリカ大統領ジョンソンに眠れないほど怒りを覚え、68年大統領選挙の最中、凶弾に倒れたロバート・ケネディに涙したあのころ。時は米ソの冷戦真っただ中。この冷戦の仕組みを明らかにし、いつかはこの構造を何とかしてやろうと大きな志を抱いたのでした。は次々に変わりました。長期政権のブレジネフが亡くなり、アンドロポフ、チェルネンコ。そして85年に登場したゴルバチョフ。このゴルバチョフ、若いだ現代の論理学は19世紀中ごろに現れたゴットロープ・フレーゲにより築かれたといえます。フレーゲは数学における算術の基礎を論理学に求め、「概念記法」と呼ばれる革新的な形式言語を導入して、算術の中の概念や定理がこの言語を用いた体系内で推論の連鎖として導出可能であることを示しました。この記法により、対象としている「もの」の性質やそれらの間の関係は対象変数を用いて関数的に表せ、それまでの主語■述語構造からなる命題論理の表現力をより分析的に高めました。また、思想(判断可能な内容)を表すのが文であり、思想の正しさ(真理値)は文中の名前(固有名や関数名)の意味(指示対象)けでそれまでと大して変わりはないと高をくくっていた大方の予想を裏切り、次々にすごい事が起こりました。米ソの核軍縮条約締結。ベルリンの壁の崩壊と続く東欧の体制転換。冷戦構造の崩壊とソ連自身の解体。20世紀末に起こった国際政治の枠組みの大きな変容をこの目で見ることができたことは、幸せだったと感じます。際的地位を継承したのが、今日のロシアです。20世紀にロシアや意味の与えられ方(意義)により定まるとし、文の構造を思想の構造の像と見なしました。ウィヒ・ウィトゲンシュタインは「論理哲学論考(Tractatus)」の中で、フレーゲの研究を批判的に受け継ぎ「文の写像理論」を展開しました。この理論では固有名は意味として対象(事物)を指示し、この対象が相互に結合した配列を原子的事態、また原子的事態の集まりを状況と呼びました。このとき、「現実世界」では世界を揺るがす二度の大きな体制転換が起こりました。17年のロシア革命により帝政から社会主義体制へ。そして80年代後半から90年代初めのペレストロイカ(改革)の結果、社会主義から「市場経済と民主主義を目指す体制」へと変容を遂げました。国際政治の舞台では今日、ロシアは政治面、経済面、安全保障面などで国際社会との協力とそれへの統合を模索しつつあります。とは成立している事態(正の事実)と成立していない事態(負の事実)の集まりであり、さらに成立可能な事態の集まりである可能的世界を加えた全体が「世界」を構成しているとしました。言語において、固有名からつくられる命題が対象相互の結合配列を正しく写像するときには事態の記述となり、正しい命題は成立している事態(正の事実)を表しています。よって任意の言語が世界の事実を述べ得るには、言語の文の構造と世界の事しかし、これだけ大きなロシアの変化について、どれだけの人々(特に日本人)が気付いているのでしょうか。日本外交は二度のロシアの体制転換にあまりにも鈍感だったのではないでしょうか。この問題について、微力ながら私なりに発信していきたいと考えます。2009年はベルリンの壁崩壊から20年の年でした。1989年に生まれ、二十歳を迎えたゼミ学生とドイツ統一の問題を議論していると、何ともいえない感慨を覚えます。歴史に学び、歴史をつくる。私自身もそうありたいし、また学生の皆さんにもそうであってほしいと願っています。実の間に何か共通の表現形式が共有される必要があります。この理論は数学におけるモデル理論の構築に影響を与えましたが、またプログラムの仕様記述のためのモデル理論とも見なせます。特に対象とそれらの結合配列としての事態の考えは、今日における「オブジェクト指向モデル」に現れるクラスとその関連に呼応しています。より厳密には、対象の構造を記述するのが「型」であり、そのサブセットとして対象の振る舞いを記述する「クラス」の概念があります。これら各概念の相違を検討し、オブジェクト指向モデルの形式言語を導入し、さらに一般化するのが私の研究テーマです。情報文化学科・教授 小澤治子情報システム学科・准教授 石井忠夫新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成22年1月発行 2009年度 No.4大野富彦(情報システム学科・准教授)・報告書執筆 (2009)「アビーム・グローバル・ディベロップメント・センター西安」『西安オフショアリング企業調査報告書』中央大学政策文化総合研究所プロジェクト:オフショアリングビジネスの展開(50-54頁)越智敏夫(情報文化学科・教授)・シンポジウム司会 (2009年8月15日)市民文化フォーラム「市民による社会変革」発言者:ノーマ・フィールド、小森陽一、広田照幸、市野川容孝、内海愛子(日本教育会館)・書評執筆 (共同通信2009年10月配信)ベネディクト・アンダーソン著『ヤシガラ椀の外小林元裕(情報文化学科・准教授)・講演 (2009年9月27日)「黒竜江と近代日本」新潟県国際交流協会主催 2009年度国際理佐々木 寛(情報文化学科・教授)・新聞記事執筆 「カリフォルニアの環境政策―先進的取り組み発信」『新潟日報』連載バナンスの教育研究拠点」(慶應義塾大学三田キャンパス)・研修講師 (2009年8月3,4日)産能マネジメントスク−ル主催「ケースメソッドによる経営戦略策定セミナー」へ』NTT出版、『新潟日報』ほか各紙掲載。・解説記事執筆 「総選挙にあらわれた民意」『新潟日報』2009年8月31日朝刊・解説記事執筆 「総選挙解説」『新潟WEEK!』2009年8月7日号, 8月21日号・エッセイ連載 「Close Up」『新潟WEEK!』2009年10月16日号〜熊谷 卓(情報文化学科・准教授)・2009年10月27日NHK国際放送番組“News Line”に出演、米国の対テロ戦争の行方(グアンタナモ収容所の閉鎖)について解説解講座「アジアをもっと知ろう!」(朱鷺メッセ)「バークレー便り」③ 2009年7月1日朝刊19世紀後半に現れたルート・新聞記事執筆 「地域と世界に開かれた大学―世界水準の研究生む『新潟日報』連載「バークレー便り」④ 2009年7月28日朝刊・新聞記事執筆 「サンフランシスコ 夏の風物詩―多様性愛する2祭典『新潟日報』連載「バークレー便り」⑤ 2009年8月7日朝刊・新聞記事執筆 「『政権交代』後の課題―市民活動の持続必要」『新潟日報』連載「バークレー便り」⑥ 2009年9月4日朝刊・シンポジウムコーディネーター (2009年8月19日)「市民からの<軍縮>提案―核開発とミサイル防衛の悪循環を超えて」(万代市民会館)・講演 (2009年9月4日)「オバマ政権下のアメリカで見たもの―『政権交代』後の市民政治を考える」(クロスパルにいがた)・解説 (2009年11月7日) アムネスティ・インターナショナル日本 スピーキング・ツアー2009新潟講演会「『対テロ戦争』とグアンタナモ収容所」(クロスパルにいがた)・講演 (2009年11月26日) 新潟県平和センター10周年記念講演「『政権交代』後の平和問題」(新潟会館)・司会 (2009年11月29日)日本平和学会 秋季研究集会 自由論題部会Ⅱ(立命館大学)矢口裕子(情報文化学科・准教授)・翻訳(共訳) アナイス・ニン/ヘンリー・ミラー往復書簡「恋した、書いた」『水声通信』第31号(56-72頁)・翻訳 冥王まさ子「現代日本女性のグリンプス」『水声通信』第31号(114-124頁)・翻訳 アナイス・ニン『人工の冬』水声社(324頁)吉田 博(情報システム学科・准教授)・三条市優しい「まちなか」創造協議会委員(会長) 平成21年度地域ICT利活用モデル構築事業の一環として、昨年度運用を開始した「買い物御用聞サービス」の改善・強化、地域ポータルサイト(子育て、福祉コミュニティ、市民活動支援、農業支援)の構築を行う。80年代に入り、ソ連の指導者91年12月、解体したソ連の国

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