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リップマン・ルームから見下ろした大学キャンパス。右に建つのは大学のシンボル、セイザー・タワー。これまでに既に40人以上のノーベル賞受賞者を輩出している最終講義     ひ        3 のご案内うんぬんめま い1年の海外研修中、私はいくつかの「挑戦」を自分に課した。そのうちの一つが、アメリカの大学で開かれる通常の講義を、現地の学生と一緒に受講するということである。講義で使われる英語を習得してみたかったこともあるが、アメリカの学生や教育の実態を肌で感じてみたいということもあった。私を招いてくださった、カリフォルニア大学バークレー校のアンドリュー・E・バーシェイ教授は、私の提案に快く同意してくださり、私は「客員教授」ではなく、まさに普通の「学生」として、「20世紀の日本」と「戦後日本史」の二つの講義に参加することになった。いつも「教える側」にいた自分が、若い学生たちと机を並べ、懸命にノートを取るのは、本当に新鮮で愉快な経験だった。何より、若返ったというか、学問を志した当初の知的興奮が甦ってきた。そう、講義は常に知的な興奮に満ちて今春、本学に多大な功績を残されました情報システム学科の大山毅先生と、大竹康夫先生が定年を迎えられます。大山先生は平成6年から、大竹先生は同14年から教壇に立たれ多くの学生を社会に送り出してきました。いた。朗々と語られる、歴史の下半身をえぐるような見事な分析に惹き込まれ、また自分が生まれ育った国の歴史が、目の前最終講義を、次の日程で開催します。どなたでも聴講いただけますので、当日直接会場にお越しください。多数の方のご来校をお待ちしています。■2月6日(土曜日)■本校(みずき野キャンパス)でまるで生きたまま解剖されていくような展開に眩暈すら覚えた。とはいっても、もちろんアメリカの学生も日本の学生と変わりはない。遅刻する学生もいるし、授業が始まる前は、騒然としている。見たところ、学問云々というより、単位稼ぎに必死な学生がほとんどである。しかし、いったん教師が語り始めると、教室は水を打ったように静かになる。「いったい何割の学生がちゃんと内容を理解できているだろう」と思うような高度な内140教室午後1時〜2時大竹康夫先生    「SEとして午後2時10分〜3時10分 大山 毅先生     「人間工学・容に差しかかっても、学生の眼は、教師の発する「何か」に鋭く注ぎ込まれたままである。そしてそれは、決して教師の話し方が分かりやすいだとか、黒板の字がきれいだとか、配付プリントがあるとかないとか、そんなことによるものではなさそうだ。学生たちを惹きつける、バーシェイ教授が発するものが何であるのか、それに気が付くことは、実はそれほど難しいことではなかった。その講義が放つ迫力は、いわば、まさに最先端の研究者のみが発することのできる迫力である。学問の最先端で苦闘し、探求し続けている知的現場の緊張と雰囲気が、それを聴くものにひしひしと伝わってくるのである。たとえときには「難しすぎる」内容であっても、学生にとってそれは紛れもないホンモノの「何か」であって、今聴かなければいけない「何か」であるということが分かる。「よい講義」が何であるかというのはさまざまな見方があるにちがいない。しかし私は、ホンモノの研究者だけが為すことのできる「よい講義」が何であるのかについて、目の当たりにした気がする。今、日本では経済や政治のみならず、教育までもアメリカに倣えとばかりに、ただひたすら授業時間数を増やしたり、表層的な基準の「外部評価」で教職員の事務仕事を増やすことが教育研究の向上をもたらすという迷信がまかり通っている。「質より量」の発想である。しかしそれは、アメリカの教育者として」大学がなぜ世界水準の教育研究を誇ることができるのかという本当の秘密を読み誤っていると思う。大学という場所で真に社会や学生が求めるものが何であるのか、私たち日本の大学人は研究と実験」今、少し立ち止まって考えるべき時期かもしれない。「青少年のための科学の祭典2009」が11月21、22日の両日に三条市の県央地域地場産業振興センターで開催されました。本学からは情報システム学科の二瀬由理准教授と同学科3年生3名が参加し「視覚の不思議」などを体験してもらいました。このイベントは、未来を担う青少年のために、実験や工作などの実体験の場を提供し、科学の面白さ、楽しさを実感してもらうために行われている体験型イベントで、今年で18回目を迎えています。今年度の新潟大会では、県内の高校、大学、企業などが出展した31のブースと、3種類のステージショーが行われました。あいにくの荒天にもかかわらず、両日合わせて約7800人の方々が来場され、各ブースからは常時、子どもたちの驚きの声や、楽しそうな笑い声が聞こえてきていました。本学が出展したブースは「人間の視覚の不思議な世界」というタイトル。子どもたちに、普段何気なく見ているこの世界が、実は実際の物理世界と違う場合があることに気付いてもらい、人間の視知覚の面白さを知ってもらうことを目的に、いくつかの体験を用意しました。例えば、さまざまな幾何学的錯視を体感した上で、実際に自分たちで書いてもらったり、実際には色が付いていないコマを回すと色が見えるという主観色を体験してもらったりしました。さらには補色の関係をマッカロ―効果(方位随伴性残効)の体験を通して理解してもらいしました。(情報システム学科准教授 二瀬由理)新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成22年1月発行 2009年度 No.4情報文化学科・教授  佐々木 寛海外研修を海外研修を終えて 終えて カリフォルニア大学バークレー校の講義を受講して楽しく「視覚の不思議」体験     人気の本学ブースに驚きの声ホンモノの研究が生むホンモノの教育ホンモノの研究が生むホンモノの教育

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