河口湖のワカサギを絶滅させた奴ぁは誰だあ
てめぇら、人間じゃねえ

by 破れ傘刀舟(萬屋錦之介ver.)


1984年、大学4年の夏休みの終わり、ゼミ合宿で河口湖に行きました。

当たり前のように安い民宿に泊まりました。当時、学生は金がないのが当然だったと思う。特に男は。そういえばこの年のゼミには女子学生も数人いたんだけれど、合宿に来たのはきれいさっぱり男ばっかしだったなあ。ま、部屋割りとか楽でいいんだけどね。

そんでその河口湖、面白いところでした。東京から近いのに東京ではない。当たり前だけど。なんか気配が良いのよ。富士山なんかきれいに見えて。漫画みたいな地形だったなあ。

ゼミ合宿としては二泊したのかな。テキストについてああだこうだと議論して、朝まで酒飲んで。他の時間は何してたんだろ。寝てたのかな。自転車に乗って河口湖を一周した記憶はあるなあ。樹海にも行ったか。まあ、そんなこんなでゼミ合宿が終了した後、みんなは東京に帰ったのですが、僕はもう一人のゼミ生(山口君、お元気ですか)と二人で河口湖に残りました。

なんで残ったかと言うと、我々の共通の友人(というか先輩ですな。井出さん、お元気ですか)に河口湖のホテルの御曹司がいて、彼の家に遊びに行ったんですね。その昔、コマーシャルの撮影にも使われたというでかい旧家でした。そこでまた酒飲んで、ホテルに泊めてもらったんですよ。

そんで、その家でお酒を飲んでたときに友人の御母堂が出してくれたのが、河口湖のワカサギを使った自家製佃煮でございました。はっきり言って、これはすごかった。本当にすごかった。川魚を馬鹿にしてはいけないということをあの時に私は学びました。ワカサギがこれほど美味しい魚だとは私は知らなかった。飲んでてあまりのうまさに泣いたもんなあ。あの時食った以上のワカサギの佃煮はないっ。それどころか、あれ以上の佃煮はないっ。

ところがでございます。その至福のひとときを私が河口湖で送った夏の翌年か、そのまた翌年か、河口湖のワカサギは違法放流されたブラックバスに食われて全滅してしまいました。この地球上から「河口湖のワカサギ」は消えてしまったんですね。

具体的にいろいろと責任者の名前は特定できるんだろうなあ。ブラックバスを放流した犯罪者とか、それを裏で使っている釣具業界のいかれぽんちとか、金儲けしか考えてない糞みたいな超有名コピーライターとか、プロの「バス釣り」と称している倫理観ゼロの詐欺師とか、バス釣り雑誌出してる根腐れ出版人とか、それ読んでる脳みそ空っぽの「釣りファン」とか。お前らの頭は何のためにのってんだ、首の上に。お前らの頭は釣具メーカーのロゴ入り帽子をのっけるための台か。そんなもんなら捨ててしまえ。

河口湖も町おこしでいろいろ大変なんだろうけど、バス釣りだけは絶対やめたほうがいいと思います。もう遅いけど。

ちなみに、私はこんなこと書いてますからね。本学の学生さん、ゼミコンパなんかで自己紹介するとき、間違っても「僕、バス釣りが趣味です」なんて言わないように。

このことに興味を持った人は 秋月岩魚『ブラックバスがメダカを食う』(宝島社新書、1999年) を一読ください。押さえた調子ですごくまじめにこの問題について書いています。でも、日本中の湖や川が本当はもっとひどいことになってんだろうとは思わせます。

というわけで、今回の旅行記(かな?)、食い物の恨みは恐ろしいってことで。


<追記:July 11,2005>

2004年11月に以下のようなメールが AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんという方から届きました。メールアドレスの@から前の部分を ○○○○ と伏せていますが、他の部分は「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」というメール差出人のお名前も含めて AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんが書かれた原文のままです。本ページにアップするに際して読みやすさなどを考慮して、句点を追加し改行箇所を一部変更してあります。

ここでは AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんの主張が全面的に正しいとも間違っているとも主張するつもりはありません。また、上記の拙文は当日、河口湖在住の複数の人々から聞いたことをもとにして書いてあります。ここでそれらがすべて虚偽だったと書くつもりもありません。

ご存知のようにブラック・バスの問題についてはウエブサイトを検索しても、またその他の書籍などを読んでもいろんな意見があります。それぞれが自分の説を「科学的」「実証的」と述べています。また、AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんも書かれていらっしゃるように、遊漁料収入が「300万〜400万程度」から「2億5千万〜3億円」に増加することを寿ぐ漁協もあるかもしれません。そうした具体的な利益に関わる方々にとっては特にこの問題の語り方もそれぞれのイデオロギー的バイアスがあると思います。ただし、AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんから指摘していただいた用語での検索でたどりついたサイトを含めて多くのウエブサイトや書籍、また野尻湖や奥只見湖など新潟県内のバス問題に関する議論に接した後の現在でも、釣具メーカーや有名コピーライターなどに対する私の認識は基本的に変化しなかったことは記述しておきたいと思います。

申し訳ありませんが、私自身がこの問題に関する個々の点について論じるほどの時間的余裕はありません。また、本サイトはそれを目的としたものでもありません。

さらに、こうした(私からみればけっこう)まじめな問題に関する意見を、AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんが 「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」という匿名(だと思いますが、もしかしたら本当に AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんというお名前かもしれません。その際には謝罪します。AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さん、どうも申し訳ありませんでした)でこちらに送信されることについても、ここで問題にするつもりはありません。とつぜん、AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんという匿名と思われる方からメールを受け取る側の「気分」、あるいはそのことが当該問題に関する私の認識に与える影響についてもここで議論の対象にするつもりはありません。

そこで今回は AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんからのメール全文を本ページに掲載し、本ページを見る方に AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんの意見を読んでもらい、各自の判断におまかせすることにしました。皆さんにこの AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんの書かれたメールをお読みになっていろいろ考えていただければと思います。

その AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんのメール全文の掲載に際し、AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんにメールで問い合わせたところ、AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんは了解してくださいました。ご了解いただいた AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんには、ここで深く御礼を申し上げたいと思います。AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さん、どうもありがとうございました。

以下の部分がその AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA さんからいただいたメールです。

-------- Original Message -------------------------------------------------
Subject: 「河口湖のワカサギ」について
Date: Sat, 20 Nov 2004 09:54:24 +0900 (JST)
From: AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA <○○○○@yahoo.co.jp>

偶然HPをみさせてもらったいち釣り人です。「河口湖のワカサギ」について誤った
認識をされているようなので指摘させてもらいます

1、河口湖のワカサギは違法放流されたブラックバスに食われて全滅してしまいました

 昭和60年前後の河口湖のワカサギの不漁の原因はバスとはまったく関係ありま
せん。
 山梨水産試験場の調査でも「稚魚以前の段階ですでにワカサギ資源量が急減して
いること、およびそればオオクチバスの直接的な食害によるものではないことが判
明した」としています。
 ワカサギ減少の原因は稚魚の段階でエサになる大型ミジンコ類が減少したことに
よるものでした。同じ理由によるワカサギの資源量の変動は他の湖でも確認されて
います。「霞ヶ浦、ワカサギ、資源量」あたりで検索していただくとわかっていた
だけると思います。
 それとワカサギとバスの捕食関係ですが、ワカサギは夏場は水温が低い10メー
トル以深を中心に活動し、バスは浅場を中心に活動。冬場はワカサギは浅場を中心
に活動するが、バスは深場に落ちるうえほとんど活動しなくなるために両者があう
場面はほとんどありません。ワカサギとバスの捕食関係についての調査は河口湖の
ほかに榛名湖、野尻湖などで行われましたがいずれもシロと判明しています。10
0個体以上のバスを調査してでてきたワカサギは2尾だけ という例もあったよう
にワカサギの資源量を左右するバスが捕食するのは不可能です。

2、この地球上から「河口湖のワカサギ」は消えてしまったんですね。

 もともと「河口湖のワカサギ」という生物は存在しません。ワカサギは元々汽水
域の魚であって、純淡水ではよっぽど条件が揃ったところ以外では繁殖できません。
当時の河口湖のワカサギも毎年毎年他の地域から取り寄せた卵を放流していたもの
です。

 最後に。
 ここ数年は河口湖のワカサギは豊漁傾向が続いていて一人あたり200尾以上釣
れることも珍しくないようです。バスが多い現在の方がワカサギが釣れることを考
えれば、「バスによってワカサギが全滅」というのが間違いだったとわかっていた
だけると思います。
 またバスは河口湖漁協にとってもプラスになっています。ワカサギの全盛期でも
河口湖の遊漁収入は全盛期は300万〜400万程度でしたがバスによる遊漁料収入は2
億5千万〜3億円にも達しています。
 魚が減ったことをなんでもかんでもバスのせいにすればいい という風潮ですが、
安易に受け入れてしまうのはどうかと思います。「ブラックバスがメダカを食う」
といいますが、メダカを採ったことがある人なら、生息地がかぶらないことに気づ
くはずです。琵琶湖の問題でも「バスなどが急増して在来魚が減少」というニュー
スが流されていますが、実際のところはバスは減少傾向です。急増しているのはブ
ルーギルですが、ブルーギルは滋賀県の施設から逃げ出して増加したために「ブルー
ギルが増加」とは公にできず、ブルーギルが98%、バスが2%でも「バスなどが
急増」と報道されているわけです。また琵琶湖の在来魚の減少理由も、科学的な調
査でも、漁師の意見でも最大の原因は琵琶湖総合開発によるもの と一致していま
す。
 安易なバス批判の意見に流されずに、科学的事実に基づいて判断されることを望
みます。質問は批判、感想などがありましたらよろしくおねがいします


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