なまもの2009年


セバスチャン・サルガド アフリカ (2009年12月12日)東京都写真美術館
ジブリの絵職人 男鹿和雄展 (2009年11月14日)新潟県立万代島美術館(新潟市)
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009 秋版 (2009年10月3〜4日)十日町市、津南町近辺(新潟県)
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009 (2009年9月2〜4日)十日町市、津南町近辺(新潟県)
さがゆき(Vo)+小畑和彦(G)ボサノヴァ・デュオ (2009年8月14日)Bar Porto(東京・日暮里)
ダンスパフォーマンス〜チェロの響き:中野綾子・加藤千明・根津要 (2009年7月27日)燕喜館(新潟市)
説経浄瑠璃「越後國 柏崎 弘知法印御伝記」 (2009年7月12日)新潟県民会館・小ホール
大駱駝艦・壺中天公演「穴」 (2009年7月10日)壺中天(東京・吉祥寺)
毛皮のマリー (2009年6月17日)新潟県民会館・大ホール
上原木呂 時の万華鏡 コラージュ (2009年6月12日)画廊Full Moon(新潟市)
アンティエ・グメルス ひかり体験 (2009年6月12日)画廊Full Moon(新潟市)
Noism09 ZONE 〜陽炎 稲妻 水の月 (2009年6月5日)りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)劇場
一部 academic 二部 nomadic 三部 psychic
人形浄瑠璃 文楽:国立文楽劇場開場二十五周年記念 (2009年5月22日)国立劇場小劇場(東京・三宅坂)
第一部 寿式三番叟 第二部 伊勢音頭恋寝刃   古市油屋の段   奥庭十人斬りの段 第三部 日高川入相花王   真那古庄司館の段   渡し場の段
河原久雄写真展――人間を超えて生きる文楽人形の一瞬 (2009年5月24日)一穂堂サロン(東京・銀座)
やなぎみわ マイ・グランドマザーズ (2009年5月9日)東京都写真美術館
夜明けまえ 知られざる日本写真開拓使II (2009年5月9日)東京都写真美術館
タツノコプロの世界展 (2009年5月3日)新潟市新津美術館
NYLON100℃ 33rd SESSION 神様とその他の変種 (2009年4月26日)本多劇場(東京・下北沢)
藤井芳則展 floater 2 (2009年4月27日)新潟絵屋(新潟市)
John G. Shedd Aquarium (Mar.30, 2009) Chicago
The Chicago Symphony Orchestra (Mar.25, 2009) Symphony Center, Chicago
Chicago Symphony Orchestra Daniele Gatti, Conductor Dmitri Alexeev, Piano MENDELSSOHN Symphony No. 4 in A Major, Op. 90 (“Italian”) PROKOFIEV Piano Concerto No. 4 for the Left Hand in B Major, Op. 53 BEETHOVEN Symphony No. 3 in E-flat Major, Op. 55 (“Eroica”)
MoMA: The Museum of Modern Art (Mar.25, 2009) New York City
The Third Mind (Mar.25, 2009) The Solomon R. Guggenheim Museum, New York City
La Sonnambula
Neue Galerie (Mar.22, 2009) New York City
人形浄瑠璃 文楽 (2009年3月14日)りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)劇場
昼の部 14:00〜  「一谷嫩軍記」(いちのたにふたばぐんき)    熊谷桜の段(くまがいざくらのだん)    熊谷陣屋の段(くまがいじんやのだん)  「紅葉狩」(もみじがり) 夜の部 18:30〜  「二人三番叟」(ににんさんばそう)  「御所桜堀川夜討」(ごしょざくらほりかわようち)   弁慶上使の段(べんけいじょうしのだん)  「傾城恋飛脚」(けいせいこいびきゃく)   新口村の段(にのくちむらのだん)
東京交響楽団 第52回新潟定期演奏会 (2009年3月1日)りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)コンサートホール
指揮/大友直人 チェロ/ピーター・ウィスペルウェイ ♪エルガー:行進曲「威風堂々」第2番 イ短調 作品39-2 ♪エルガー:演奏会用序曲「南国にて(アラッシオ)」作品50 ♪エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85 ♪エルガー:行進曲「威風堂々」第1番  ニ長調 作品39-1 3/1第52回新潟定期演奏会/東京交響楽団 アンコール曲 前半アンコール J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲 第一番より(チェロ:ピーター・ウィスペルウェ イ) 後半アンコール エルガー/愛の挨拶(ヴァイオリン:大谷康子) 
人形浄瑠璃 文楽 (2009年2月22日)国立劇場小劇場
第一部 鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)     浜の宮馬場の段  浅香市之進留守宅の段  数寄屋の段  岩木忠太兵衛屋敷の段  伏見京橋妻敵討の段 第二部 敵討襤褸錦(かたきうちつづれのにしき)  春藤屋敷出立の段  郡山八幡の段  大安寺堤の段 第三部 女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)  徳庵堤の段  河内屋内の段  豊島屋油店の段
麿赤兒「シンフォニー・M」 (2009年2月21日)世田谷パブリックシアター
1000 Prayers アンティエ・グメルス展 (2009年1月24日)新潟絵屋(新潟市)
ベルリン・フィル八重奏団2009(ソリスト:佐藤しのぶ)


La Sonnambula
Mar.24, 2009
The Metropolitan Opera, New York, NY
Conductor : Evelino Pido
Production: Mary Zimmerman

Amina : Natalie Dessay
Elvino: Juan Diego Florez
Count Rodolfo: Michele Pertusi
Lisa : Jennifer Black

ベッリーニ作のオペラ「夢遊病の女」。Natalie Dessay と Juan Diego Florez のコンビなんで、もうシリーズ前からいろいろと話題づくりに抜け目のないメット。マンハッタンのいたるところに派手なポスター貼りまくり、メット正面には300畳くらいの寸法の垂れ幕(っていうんだろうなあ)で Dessay を躍らせとります。さらにはThe MET Live in HD っつう、高画質ライブ・ビューイングで全世界の映画館で上映しようという強気の勝負。今シーズンのプログラムのなかでも確実に当たるという勝算、強かったんでしょう。

ところがぎっちょん、レビューはさんざんだし、プレミアのカーテンコールではメット史上最大規模(とまで Time Out NYは書いていたと思う)のブーイングが起き、直後にそれが YouTube でさらされるまでに。これもすべては Mary Zimmerman の演出のためか。その YouTube では Dessay が「彼女へのブーイングはもうやめてあげて」というポーズまでしております。嵐のブーイングにさらされた Zimmerman はその後の上演ではカーテンコールにも出れなかったらしい。僕らが見たときにも彼女は出てきませんでした。

でもオペラの不思議なところで、つまらない演出でも感動したりすることもあるし、Dessay や Florez でも波はあるだろうし、いちがいに Zimmerman のせいだけにするのもかわいそうな気がする。特に Dessay は僕らが見た日は良かったように思えますが、初日から数回はあまり良くなかったという評もありました。

で、その舞台。スイスの山村で夢遊病の女が引き起こすお気楽な恋愛騒動を現代劇(そのオペラのリハーサルという設定)に置き換えた時点でかなり無理があるけれど、事前のレビューで思っていたよりは破綻もないように僕には見えました。この恋愛小喜劇を、地味に(よくいえば理性的に、悪く言えば小賢しく)演出しておいて、最後の最後、メットらしい物量作戦、それも「この10分のためだけにここまでのものを準備するかあ」という演出は正直言って、僕は感動した。

Natalie Dessay と Juan Diego Florez のコンビはじめ、他のパートも期待通りの歌でした。特に Michele Pertusi は良い役をとっていることもあるけれど、彼の歌は聞いていてとても楽しかった。このためだけでもチケット代のもとはじゅうぶんいただきました。Natalie Dessay は「かわいい」とか「アイドル」というのとは違うけれど、その存在感はちょっとすごいものがあるし、Juan Diego Florez は僕のような素人が聞いても、なんでこの歳でこんなに安定してうまいのだろうと思った。

ということで「変な演出」ばかりが議論された本作ですが、ファンをこのように怒らせる企画は大事だと思う。METには、ファンのブーイングなど無視して、芸術をこの調子でどんどんラジカル(かなあ?)にしていってもらいたい。


ベルリン・フィル八重奏団2009(ソリスト:佐藤しのぶ)
2008年11月5日
りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)コンサートホール
ベートーヴェン:“ああ 心なき人よ”Op.65
ベートーヴェン:七重奏曲Op.20
《休憩》
J.シュトラウスU世:オペレッタ「こうもり」より序曲
R.ジーチンスキー:ウィーン、わが夢の街
J.シュトラウスU世:アンネン・ポルカ
F.レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」よりヴィリヤの歌
A.バッジーニ:妖精の踊り
J.コズマ:枯葉
J.シュトラウスU世:美しく青きドナウ
J.シュトラウスT世:ラデツキー行進曲

新年のコンサート。ソリストは佐藤しのぶ。ベルリン・フィルの八重奏団。でも選曲はウィーン・フィルみたい。ベルリン・フィルの人たちの鷹揚さというか、主催者側の意向の強さというか、そういうところは若干気になるものの、まあ「新年おめでとう」ということで。楽しいコンサートでした。

3階席正面で見ました。オクテットなので室内楽のコンサートだったらもっと良かったんだろうけれど、でも逆に佐藤ひとりの声がコンサートホールの3階席までしっかりと届き、また8人で「美しく青きドナウ」やら「アンネン・ポルカ」やら、これまたしっかりとホールのうしろのうしろまで届けるんだから立派です。編曲の妙もあるでしょうが、個々人の技能もとんでもないんでしょう。ときどき「どうだまいったか」みたいな演奏もあったけど、まあそれはひとりひとりの「見せ場」なんだし、これも含めて楽しかった。

クラシックに詳しい同僚によると、なかでもホルンのラデク・バボラークは特にすごい人だそうです。1976年生まれ。チェコ・フィルからミュンヘンを経てベルリンへ。ちょっと検索すると日本語でも英語でも出るわ出るわ。ステージ奥のホルンがよく見えるところに座っていたお客さんたちは彼が目当てだったんでしょう。終演後のサイン会もそりゃあ人が集まるよねえ。

というわけで、明るく良いコンサートでした。残念だったのは客の少なさ。たしかにこのホールで八重奏は「商品」としては難しかったかもしれない。でもこんなすごい演奏がこの程度の値段で聞けるんだから、もっと人が入っても良かったかなあと思います。特に中学や高校、大学で吹奏楽などをしている人(の親や教師も)は、無理してでもバボラークの生演奏を聴いたら、それはそれですごく貴重な経験になると思う。……ので、本学の学生さんたちにも宣伝したんですけど、何人かは行きましたでしょうか。


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