3・4年ゼミシラバス

●教員の研究テーマ

平和学・地球政治学という新しい学問の枠組みで、戦争・環境破壊・貧富の格差などの国境を越えた「地球的問題群」の現実を全体的に把握し、 この問題に立ち向かう国際組織や社会運動の取り組みや活動について研究しています。

●教員の現在の関心

現時点で思いつくもの。順不同。
--新潟の民衆史。沖縄や新潟のミクロな地域主義を含んだ「東アジア」のゆくえ。
「グローバル化」というものの正体。「グローバル化」にともなう「人権」概念の再構成。
原子力発電および核兵器をめぐる政治。遺伝子や臓器をめぐる政治。
人間の生活を破壊する地雷の問題とそれにとりくむ各種の活動。
民間軍事会社(PMC)や新しい軍事経済について。国際報道のしくみ。
「国際世論」はどのように形成されるのか。無数のNGO活動の把握と分類。
「ボランティア」型社会の可能性。戦後日本の平和運動の世界史的意味付け。
フォルクローレの音楽史。子供の成長の様子。などなど。

●これまでの卒業論文のタイトル一例

◎臓器売買から見える世界――あなたは買う?それとも…。
◎「慰安婦問題」の意味を考える--歴史を学ぶということはどういうことか
◎「ナヌムの家」からのメッセージ――暴力をこえて
◎環境問題に取り組むことの意味--富山市を事例にして
◎構造的暴力としての児童虐待――歴史・現状・要因
◎死刑に関する一考察
◎イスラエル・パレスチナ問題を考える――現代戦争の構造 
◎原子力と民主主義
◎戦争と情報
◎候孝賢の映画と台湾社会
◎エンパワーメントの理論と実践 ―フィリピンのマイクロファイナンスを事例として―
◎エコツーリズムによる途上国の経済的自立と多文化的発展の可能性に関する一考察
◎にいがたの公共空間とアート ―新時代の「にいがた」を創造する市民活動の技術とは
― The Art of Creation "Niigata" as a Public Space ― 
◎多文化主義を考える Multiculturalism ―アメリカ合衆国の事例を中心に据えて―
◎ベンヤミンにおけるいくつかのモチーフについて
◎フェアトレードの可能性―不公平な世界を超える道―
など

●ゼミテーマ・タイトル

平和のための地球政治学

●内容

当ゼミでは、危険や問題がグローバルに展開する現代で、 人間がすこしでもよりよく生きぬいていくための方策をいっしょに考えてみようと思います。
そのためにはまず、現代の危機や問題の本当の姿をしっかり知的につかまえなければなりません。
身近な問題がもつ世界的な意味をおのおのが理解すること。これが第一のねらいです。
第二に、このような問題を考えるにあたって、なぜ既存の知的な枠組み=社会科学だけではダメなのか、 いかにこれまでの「勉強」が、人間がいきいき生きていくための「学問」をダメにしてきたのか、について考えてみようと思います。
その意味で、新しい学問運動としての「平和学」の可能性や新しい大学のあり方などについても議論できればと思います。
そして最後に、広い世間でさまざまに展開する新しい試みや活動を見る中で、 現代でよりよく生きてゆくための新たな方策をともに探求できればと思います。
さまざまな市民活動やNGOで活躍する人たちをゼミに招いたり、ゼミ学生自身が自分たちの力でNGOを設立・運営したり、 いろいろなことに挑戦しようと思います。

最終的に各自ゼミ論文(3年次)、および卒業論文(4年次)の作成を目指すため、多種多様なテキストを読みこんでいくだけでなく、 さらに必要に応じて調査旅行やフィールド・ワークも行います。
また、映画をはじめとする映像資料もできるだけ多く活用する予定です。
なお、佐々木ゼミでは毎年、韓国・台湾・中国・ヨーロッパいずれかの地域に平和研修旅行に訪れるのが慣例になっています。
各地の歴史資料館や戦争/平和記念館(韓国では「ナヌムの家」、ヨーロッパではアウシュヴィッツをはじめとする強制収容所)などを訪れ、 身体全体で世界の問題を感じ、思考することを目指します。
当ゼミでは広い意味での暴力や平和に関する問題を扱いたいと思いますが、 細かいことは、参加学生の自由意思にゆだねます。
扱うテキストに関しては以下に一例として挙げたものを参考にしてください。

●使用予定テキスト

◎H.アレント『暴力について』みすず書房
◎A.ギデンズ『近代とはいかなる時代か?』而立書房
◎U.ベック『危険社会』法政大学出版局
◎A.メルッチ『現代に生きる遊牧民』岩波書店
◎E.サイード『知識人とはなにか』平凡社
◎P.ブルデュー『メディア批判』藤原書店
◎日本平和学会編『平和研究26号?新世紀の平和研究』早稲田大学出版部
--他に必要に応じて英語文献も読みます。
◎M.Shaw, Civil Society and Media in Global Crises.
◎D.della Porta et al., Social Movements in a Globalizing World. など。

●ゼミの進め方

ゼミの進め方や運営方法に関しては、基本的に参加者と相談して決めます。
ただ、テキストを読む場合は、報告者をたてて報告をしてもらい、それを討論者が整理・コメントするという方法をとろうと思います。
その後は自由討論。司会も学生です。だから教員は必要最小限のことしか話しません。参加学生がゼミをつくりあげます。

●成績評価基準

ゼミへの参加態度や貢献度 + レポートの出来。

●ゼミ選択上のアドバイス

能力や知識よりも、ゼミというひとつの社会を自分の力で楽しくつくっていこうとする気概をもった学生、 また、大学生活を締めくくる上で悔いのない卒業論文を書き上げたいと思っている諸君を歓迎します。