贈ることばにかえて 2007年度

 今年の卒業生は「第7代目」ということになる。しかし、毎年この文章を書く時に思うことは、これまで彼らとちゃんと関わることができたかどうかという、自分の行いに対する不安というか、いくぶん悔いのような感情である。

 年々、つまらない理由から、大学はどんどん忙しくなってゆく。加えて、能力も無いのにどんどん仕事をひきうけて、おまけに生来の怠け癖から、いつも時間に追われ、一番大切なことが置き去りにされていく。

 学生がふと、「先生は忙しいから…」と言う時、ぼくはいつも、「<忙しい>というのは、文字通り<心が亡い>という意味だから、本当はよくないことだよねぇ」などと答えてごまかしている。でも、学生たちは気を遣って、「忙しい教員」に迷惑にならないよう、研究室に押しかけるのを控えるようになる。だが、学生たちが「先生は忙しい」と言うのは、実はぼくが学生諸君にしっかり時間を使えていないことに対する、学生たちの控えめな抗議でもある。

 けれども、完璧な言い逃れだが、「教員はいなくとも学生は育つ」。

 途中、市岡政夫先生が亡くなって、そのゼミにいた2人も加わった.