Last Update: 2001.09.28
夏休み(?)にすすめる
 文献紹介
 

 このページは、本学の図書セクター委員
 の依頼で今年の夏に書いたものですが、
 自分の執筆箇所を、先行公開致します。


夢枕獏『陰陽師』(文春文庫、1991年)476円+税
 今年の春にNHKでドラマ化され、今秋には映画化され、そして随分
前からコミック化されているものの原作です。この話の“呪”の
考え方は、私の専門の社会学と大変関連があります。
「ものの根本的な在様を縛るというのは、名だぞ」(第1巻31ページ2行目)
「人はな、この天地の間に在るものを理解していくのに、呪をもって
するということだ」(付喪神の巻204ページ7〜8行目)
 私の「情報文化」または情報システム演習3の「基本的数学モデル」
とそっくりでしょう? こんな会話が、夜毎、安倍清明と源博雅の間で
酒を組み交わしながら繰り広げられます。こんな風に講義できるといい
のだけれど。

小林淳一・木村邦博『数理の発想でみる社会』(ナカニシヤ出版、1997年)1800円+税
 我々は“当たり前・常識”(=呪い、そして“吉田民人”の“プログラム”
の一種)に縛られ、ものを見、行動しています(男だから・女だから・新潟
国際情報大学生だから...)。いったいどんな仮定(呪い)に縛られていると
どのような結末が予想されるのか? その仮定を少し変化させると結末はど
のように変わるのか? これらの問いについて数学を使って答えようとして
いるのが、この本です。たくさんの人々が大変複雑に互いに影響しあってい
る状況について考えるのは大変難しいことですが、数学を使うとスッキリ
見えてくることがあります。そんな面白さが味わえる本です。