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伊村准教授ら研究発表(国際交流委員  国際文化学科    講師 佐藤若菜)は11月26日、「変化するア今年度の国際理解講演会ジア経済」をテーマに、「週刊東洋経済」編集長の西村豪太氏をお招きし、本学新潟中央キャンパス9階講堂で開催しました。西村氏による講演(タイトル:「中国の『一帯一路』戦略と日本」)の後は、在新潟ロシア連邦総領事館の総領事であるヤーセネフ・セルゲイ氏と中華人民共和国駐新潟総領事館の経済商務領事である李璋発氏より、各国における経済連携の現状を報告していただきました。また、残念ながら公務により急きょ欠席となった駐新潟大韓民国総領事館の領事である李正雨氏からも、韓国におけるFTA(自由貿易協定)政策に関する資料を提出していただきました。西村氏の講演タイトルにもある「一帯一路」構想とは、2013年9月に習近平政権の下、正式に公表されたものであり、欧州へのアクセスを陸路と海路の両方において改善し、その沿線に大きな経済圏をつくろうという現代版シルクロード構想を指します。想を進める理由として、①TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を含めた米国のアジア太平洋戦略への対抗、②国有企業が抱える膨大な過剰生産能力の解消、③人民元の国際化戦略の3点があったと指摘しました。西村氏は、中国がこの構しかし、今年11月に実施されたアメリカ大統領選の結果を受けて、中国も米国も今後はTPP等の多国間協定ではなく、二国間協定に傾く可能性が高く、日本では日中韓FTAをベースにASEAN10ヵ国などを組み込んだRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が、TPP以上に争点化する可能性が高いと述べました。また、貿易拡大だけでなく、AIIB(アジアインフラ投資銀行)への出資などから形成されるアジア経済に対する影響力が、アジアチンパンジーが、野菜の葉や果物のハリ、ツヤなど鮮度の違いを「明るさ」を手がかりに区別することを、情報文化学部の伊村知子准教授らの研究グループが確認しました。これまで、ヒトやチンパンジーを含む霊長類の食物選択には色覚が重要と考えられていましたが、この研究で初めて、チンパンジーは、輝度(明るにおけるパワーバランスそのものを大きく左右すると述べた上で、アジアを中心とした新たな経済圏に注目することによって、今後のさ)の分布を手がかりに新鮮さの違いを見分けることが明らかになりました。この成果は平成28年10月6日に英国の科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に掲載されました。実験では、京都大学霊長類研究所のチンパンジー3頭に対して、普段食べているキャベツの葉を用意し、時間とともに劣化していく様子を10枚のカラー写真で撮影しました。そのうちの2枚の写真を見せて、新鮮な方を選ばせたところ、正答率は84%でした。さらに、日本経済をも読み解くことができると話されました。写真を白黒に変えて、明るさのみを手がかりに識別できるかを調べたところ、正答率は81%となり、カラーの場合とほとんど変わりませんでした。チンパンジーは、色の手がかりがなくても、明るさを手がかりにして、ハリやツヤなどの鮮度の違いを見分けることがわかりました。近年の研究から、人間も鮮度の違いを判断する際に、色覚だけでなく明るさを利用していることが確認されています。一方で、人間以外の動物が、見た目で「よりおいしいもの」というような食物の質感の評価をしているかどうかについて調べた例はなく、人間の質感認識がどのように進化したか、などの解明につながる研究成果といえます。これらの成果は、BSN新潟放送「BSN EWS ゆうなび」(2016年10月6日放送)、新潟日報(2016年10月13日朝刊)でも紹介されました。国際理解講演会「変化するアジア経済」チンパンジーキャベツの葉の写真から、新鮮な方を選んで指さすチンパンジー(京都大学霊長類研究所提供)新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成29年1月発行 2016年度 No.4第2部は、本学国際交流委員長、佐々木寛教授の司会進行で在新潟ロシア連邦総領事館総領事 ヤーセネフ・セルゲイ氏、中華人民共和国駐新潟総領事館経済商務領事 李璋発氏と第1部の講師、西村豪太氏がアジア経済の連携について話しました   N    3TPP…多国間協定から二国間協定今後は「新たな経済圏」へ中中国国「「一一帯帯一一路路」」戦戦略略ととはは野菜、果物のハリとツヤ鮮度を「明るさ」で認識

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