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開講から10年「異文化塾」新潟日報社と本学による一般市民を対象とした連携講座「異文化塾」も早いもので開講から10年を迎えました。今期のテーマはアメリカです。実はこれは受講生や市民からの要望が多かったにもかかわらず、諸般の事情で開講できなかったものでした。東西冷戦の終焉後、唯一の超大国となったアメリカは民主主義のリーダーを自任する一方で、世界覇権を誇示する帝国でもあります。自由と平等の社会でもあり、人種差別が依然として強固な場所でもあります。この複雑な顔を見せる国についての講座を企画するに当たって重視したのは次の2点です。まず現在進行形のアメリカ社会を対象とすること。人種、言語、信仰、ジェンダーなど、一人ひとりの文化的背景の多様性をもとに社会をつくろうとする実験は今どのようになっているのか。その多文化主義的な現状を理解する。2点目は、日本にとってのアメリカの意味を考えるということです。明治維新以降の日本は常にアメリカとの関係によって自分たちの国の形を決めてきたといってよい。アメリカについて考えるということは日本について考えることでもある。すでに終了した初回は前衛芸術家の篠原有司男、乃り子夫妻に話してもらいました。ニューヨークに渡って45年。世界を相手に活動を続ける夫妻が見たアメリカはどのような姿だったのか。お二人の日常を記録した本年度アカデミー賞ノミネート作品「キューティー&ボクサー」で語られる以上に、ラジカルに語られた同国の像は、初回の内容としてはかなり衝撃的だったのではないでしょうか。2回目ではアメリカにおける民主主義の特徴について述べながら、それが日本に与えた影響についても議論されました。3回目以降、移民社会、銃規制とテーマは続きますが、最終回ではアメリカ研究の第一人者でありアメリカ学会会長でもある古矢旬氏に、宗教という観点から全体を総括していただく予定です。講義後に設けられる討論の時間にも参加していただき、受講生の皆さんには独自のアメリカ像をつくりあげていただきたいと思っています。(国際学部 国際文化学科 教授 越智敏夫)昨年11月に新潟中央キャンパス内にオープンした「コワーキング・ラボ 4月から日曜日も開館し、いっそう利用しやすくなりました。コワーキングスペースとは個々に仕事を持つ人たちが、同じ空間でコミュニケーションを図ることで、情報やアイデアを共有するための施設です。学生は無料で施設が利用できて、放課後や土・日曜日には社会人に交じって勉強したり、友達と楽しそうに会話したりしている大学生や高校生の姿が見受けられます。4月から「イルカナイト」というイベントも始めました。ノンジャンルで講演会、ワークショップ、交流会、コンサートなどを自由に企画し開催することができます。たくさんの学びと、幅広い年代や国籍の人との出会いがある新潟中央キャンパス。今後もさまざまな活用が期待できます。こくじょう」は、 2)学会・研究会・講演等内田 亨(情報文化学部 情報システム学科・教授)・(2014年5月16日)「感情労働者の有効活躍モデルの構築」経営科学研究奨励金報告会(一般社 1)研究論文・図書神長 英輔(国際学部 国際文化学科・准教授)・(2014年)「コンブの旅とコンブ革命―ロシア極東、日本列島、中華世界」『変容する華南と 「多文化社会アメリカの現実」各テーマと講師・開催日新潟日報社と本学の連携講座①「前衛の道―ニューヨークの45年」5月24日 ②「独立革命とデモクラシー」6月28日 ③「移民社会の文化的多様性」7月19日 グレゴリー・ハドリー(新潟国際情報大学教授)④「銃社会と合衆国憲法」8月23日 ⑤「『国民社会』の発展と宗教問題」9月20日 大学・高校生は無料「イルカナイト」で多彩なイベントも衝撃的だった前衛芸術家・篠原夫妻の話新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成26年7月発行 2014年度 No.2             5上西園 武良(情報文化学部 情報システム学科・教授)・(2014年)「段差付キーによる誤タイピング低減」『人間工学』50巻3号(126-132頁)小林 元裕(国際学部 国際文化学科・教授)・(2014年)『中国・朝鮮族と回族の過去と現在』創土社(48−80頁)・(2014年)『週刊朝日百科 週刊新発見!日本の歴史(日中戦争 総力戦への道)』朝日新聞佐々木 寛(国際学部 国際文化学科・教授)・(2014年)佐々木寛 他『平和を考えるための100冊+α』法律文化社・(2014年)佐々木寛 他『国際共生とは何か――平和で公正な世界へ』東信堂・(2014年)「ポスト安倍政治を考える――「政治」を救い出すために」『月刊 社会民主』7月号白井 健二(情報文化学部 情報システム学科・教授)・(2014年)“Nonlinear characteristics of the Rate of Return in the Production Process,” 華人ネットワークの現在』風響社(113-141頁)出版(16−17頁)(7−10頁)International Journal of Innovative Computing, Information and Control, 10(2), 601-616・(2014年)“Self-Similarity of Fluctuations for Throughput Deviations within a Production Process,” International Journal of Innovative Computing, Information and Control, 10(3), 1001-1016・(2014年)“Evaluation of Production Process Using Multimode Vibration Theory,” International Journal of Innovative Computing, Information and Control, 10(3), 1161-1179區 建英(国際学部 国際文化学科・教授)・(2014年6月27日)「丸山と中国の近代的思考の模索――私の世代の体験を中心に――」(『生越智 敏夫(国際学部 国際文化学科・教授)・(2014年5月17日)「私たちの今を見つめなおす:平和、人権、男女平等などをめぐって」新潟佐々木 寛(国際学部 国際文化学科・教授)・(2014年3月2日)「平和研究と国際政治学の間――高柳先男」文部科学省科学研究費基盤(C)団法人日本経営協会)誕100周年シンポジウム 現代世界の中で丸山真男をどう読むか』、東京女子大学)女性会議定期総会記念講演会(万代市民会館)「国際関係論における内発性・土着性・自立性の基礎的研究」(京都女子大学)・(2014年5月18日)「安全保障と原子力発電――グローバル・リスク社会の文脈から」エントロピー学会(ときめいと)・(2014年1月6日〜2月10日)「新たな「核の時代」を生きるために」にいがた市民大学後期講座(クロスパルにいがた)・(2014年1月15日〜3月12日)「戦争映画から考える<愛>――現代人の憂鬱と希望」新潟国際情報大学エクステンションセンター・オープンカレッジ(新潟中央キャンパス)・(2014年1月21日)「<人権>のゆくえ」アムネスティインターナショナル日本・新潟グループ(クロスパルにいがた)・(2014年2月8日)「『新しい社会』の条件」社民党県連・県平和運動センター(新潟会館)・(2014年3月17日)「文化・津波・国際政治」(インドネシアアチェ州・アルムスリム大学)・(2014年4月19日)「『戦争をさせない1000人委員会にいがた』発足式講演」戦争をさせない1000人委員会にいがた(勤労福祉会館)・(2014年4月19日)「これからの国際理解教育」にいがたNGOネットワーク(クロスパルにいがた)篠原 有司男・篠原 乃り子(芸術家)越智 敏夫(新潟国際情報大学教授)山田 啓介(新潟日報社記者)古矢 旬(アメリカ学会会長)教員の活動(本人申告による)要望の多かったテーマを実現複雑な顔を持つ帝国の現状を理解4月から日曜もオープン!「コワーキング・ラボ こくじょう」

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